切れない鎖
「サバ?マドモワゼル」
優輝はそう言って手を差し伸べる。
女の人は一旦きょとんとすると、
「申し訳ございません」
と、すぐに謝った。
次にきょとんとするのは優輝の番だった。
(何かが今までと違う気がする)
そしてやっと、ここが日本だということを思い出した。
「僕こそ申し訳ございません。意味の分からない言葉を。大丈夫ですか、奥さんと聞いたのです。何しろ久しぶりな日本のもので」
優輝も頭を下げた。