切れない鎖

その後女の人と別れ、家に入った。

「只今帰りました」

家の中に向かって言う。

「お帰りなさい優輝さん。お荷物を預かりますよ」

「ありがとうございます。母さん」

優輝は中から出てきた母に荷物を渡した。

(ユルサルとは、違う)

優輝は部屋に向かいながら思った。

(半年前まではこれが当たり前だったのに、違うんだ。ユルサルとは、違うんだ)

学校の様子、周りの人間の性質、女の人の男へ対する態度。

(ここは、日本なんだ)

優輝は改めて自分が日本にいることを実感した。
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