切れない鎖
再び
「今まで本当に、ありがとうごさいました。卒業生代表、一条優輝」
優輝は大勢の人の前、壇上で礼をした。
直後鳴り響く拍手。
(上手く言えて良かったぁ)
優輝は心で安堵した。
日本に帰ってきて半年が立ち、今日は中学校の卒業式だった。
ユルサルに行く前から校長に頼まれていた式辞を言い終わったのだ。
(今日で卒業かぁ)
ユルサルにいた半年の間は此処での思い出はないが、一、二年生の時の思い出はある。
「優輝ぃぃぃ!稜ぉぉぉ!」
卒業式が終わると、俊が抱きついてきた。
「うわ!俊、お前最後まで五月蠅いな」
「稜、お前は最後まで直球だな」
そう言って二人は笑い合う。