切れない鎖
「高校も同じじゃないか」
優輝が言うと、俊が思いっきり背中を叩いてきた。
「卒業式は悲しみ合うって決まってんだよ!」
「なんだよそれ~、ていうか背中痛いし」
けど、顔は笑顔だった。
「で?ユルサルにまた行けるんだろ?」
俊が肩を組み、顔をのぞき込んできた。
「う、うん」
優輝は嬉しそうにはにかむ。
実は、卒業祝いにまたユルサルに行かしてもらう事になったのだ。
「父さんが許しをくれたんだ。」
「よかったな、優輝」
「あの、秋原君、少しいいですか?」
優輝に笑いかける稜に声をかけたのは、稜の想い人である優那だった。
「何?」
稜はいつも通り無愛想に返す。
しかし、後にいる優輝と俊からは、稜の耳が真っ赤になっているのが見えてしまっていた。