切れない鎖
馬車は、森の奥まで進む。
ガタン
ガタン
微かに揺れる事さえ、優輝には喜びとなった。
そして近づく。
近づく。
「ルマーズ学園に到着致しました」
行車の声を聞くと、優輝は飛び降り、お金を払った。
「ありがとうございました」
「またのご利用を」
行車は来た道を引き返していった。
「フランス語久しぶりだ~。でも上手く喋れてたよね」
優輝は弾け飛びそうな胸のドキドキを押さえ、歩き出した。
早く。
早く。
少女の本へ!
優輝は遂に走り出した。
「はぁ、はぁ、はぁ」
やっと塔の下に辿り着いた。
優輝は走った。
今まで規則正しく歩いた階段を駆け上がった。
少女の本へ行くために。