切れない鎖
そしてやっと、扉の前まで辿り着いた。
「ふぅ~」
優輝は呼吸を整える。
「落ち着こう。落ち着こう。落ち着こう……、落ち着け!」
優輝はなかなか整わない呼吸を整えようと頑張る。
「久しぶりに女の子に会うんだから、しゃんとしていないと」
優輝は服装の乱れがないか、髪の毛の乱れがないか、注意して自分の全体を確認した。
「大丈夫、大丈夫、緊張しなくて大丈夫」
優輝はぶつぶつと呟く。
「よし!行くぞ」
そして、そっと扉を開いた。
そこには、相変わらずソファーに座る少女がいた。
今日は、薄紫色のフワフワとしたドレスを着ている。
足には鎖が。
少女は、目を見開いて優輝を見ていた。
しかし、優輝も目を見開いていた。
後ろ姿だが分かる。
いつも一緒にいたから。
でもどうして?
優輝はやっと声を発した。
「どうしてここにいるんだ?シャルン」