切れない鎖

優輝の言葉にシャルンはゆっくりと振り返った。

しかしその顔に少女のように驚いた表情はない。

もともと知っていたかのような、すました顔。

「久しぶり、優輝」

シャルンはにっこりと笑う。

しかし優輝は笑い返さなかった。

「久しぶり、じゃないだろ!」

笑う代わりに優輝は叫んだ。

部屋がビリッと震える。

「何でシャルンがここにいるんだよ!僕が故郷に帰る日もこの女の子のこと知ってるような事言って!」

優輝は少女を見た。

少女は、困惑したような、諦めたような顔をしていた。

「どうして、僕がここに来ても、驚かないんだ?」

優輝は静かに質問した。

答えは既に分かっていた。

だが、認めたくなかった。

しかしシャルンは答えた。

「それは、俺は未来が見えるからだ」

と。
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