切れない鎖
「じゃあ、君達は十年程前に会ったことがあるんだね?」
頭は意外と冷静で、質問する余裕があった。
二人は頷く。
「優輝、黙ってて、悪かったな……」
シャルンが顔を俯かせながら謝ってくる。
「いいんだよ別に。国王に口止めでもされたんだろう?君を、その、買った人、だから」
シャルンに「買われた」と言うのは酷かと思い、どもってしまった。
そんな優輝にシャルンは微笑む。
「優輝、聞いてくれるか?事の全てを」
シャルンは真面目な顔になって言ってきた。
事の全て。
それは、二人が出会った時から、今までのこと全てだろう。
「聞くよ。君達の辛さ、苦しみ、僕も受け止めるから」
優輝は居住まいを正した。
そしてシャルンは話し始めた。