切れない鎖

すると、

「ほらほら、シャルンをいじめちゃだめですよ」

と、母が声をかけた。

父親が頭をかく。

貧しくても幸せな、暖かい家庭だった。

シャルンの体に変化が現れたのは次の日からだった。

椅子に座って父親と話をしていた。

すると、頭の中でガラスコップが割れる情景が流れた。

ガシャン!

音も鮮明だった。

「コップが割れた?」

そう呟いたら、父親が不思議な顔をした。

「何だ?急にどうした?」

その時出掛けていた母親が帰ってきた。

そして水を飲もうとして、ガラスコップを取った。

すると、手を滑らせてコップが床に落ちた。

ガシャン!

『ガラスコップが割れた』

シャルンの頭の中で流れた情景と全く一緒だった。

父親は、

「本当に割れたよ」

と、笑ってたが、シャルンは何だか怖くなった。
< 154 / 284 >

この作品をシェア

pagetop