切れない鎖

それからは、毎日のように未来を見る。

犬の死んでいるところ。
 
誰かが転ぶところ。

家に誰かが来るところ。

今日の夕食のこと。

何でも見れるようになってしまった。

そのせいで、シャルンは明るさが無くなってしまった。

父親も異変に気付いて、隣の家の人に話してしまった。

それがいけなかったのだろう。

隣の家から隣の家に伝わって、話はどんどん広がっていってしまった。

「シャルン・ディスクは未来が見れる」

と。

好奇心とは恐ろしいもので、家の前に人集りが出来てしまった。

「お父さん、お母さん……」

二人の側で、シャルンは泣く。

「僕、おかしくなっちゃったのかなぁ」

二人は、何も答えない。

シャルンは、自分のせいなとだと思い、泣き続けた。

そしてその話は、離れたところの貴族の耳にも入った。
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