切れない鎖

「その子をよこしなさい。そうすれば貴方の家を変えてあげよう」

目の前で、高そうな服が身を包んだ男が話している。

「し、しかし、大切な子なんです!」

父親もいる。

シャルンはこの状況が理解できなかった。

目が覚めると、ここにいたのだ。

「らば貴方の家は飢え死にするのでしょうな。その子もね」

薄暗い場所で、とても恐ろしい。

父親を見ると、父親も震えていた。

貴族の男は帽子を被ってて、何故か楽しそうだ。

それが逆にシャルンの恐怖を引き立てる。

シャルンは言葉の意味が分からず、

「うえじに?」

と、父親に尋ねた。

しかし父親は顔面蒼白で、何も言ってくれない。

「パパン?」

だんだん、不安が増してくる。

すると貴族の男が、

「渡さないようならこの話はなしで……」

と、出て行こうとした。
< 156 / 284 >

この作品をシェア

pagetop