切れない鎖
「その子をよこしなさい。そうすれば貴方の家を変えてあげよう」
目の前で、高そうな服が身を包んだ男が話している。
「し、しかし、大切な子なんです!」
父親もいる。
シャルンはこの状況が理解できなかった。
目が覚めると、ここにいたのだ。
「らば貴方の家は飢え死にするのでしょうな。その子もね」
薄暗い場所で、とても恐ろしい。
父親を見ると、父親も震えていた。
貴族の男は帽子を被ってて、何故か楽しそうだ。
それが逆にシャルンの恐怖を引き立てる。
シャルンは言葉の意味が分からず、
「うえじに?」
と、父親に尋ねた。
しかし父親は顔面蒼白で、何も言ってくれない。
「パパン?」
だんだん、不安が増してくる。
すると貴族の男が、
「渡さないようならこの話はなしで……」
と、出て行こうとした。