切れない鎖
逃走

「分かったか?」

シャルンがこっちを見やる。

「うん」

優輝はそれを言うので精一杯だった。

(シャルン、何て辛い人生だったんだ)

そして優輝はあることを尋ねた。

「どうして今更になって、シャルンはこの塔に着たんだい?」

すると、シャルンは一瞬黙った。 

そして、

「まずは国王の誕生の話をしないといけないな」

と呟き、国王誕生の話をした。

「貴族の男、その子のお父さんは最初は国王じゃなかったってのは知ってるだろ?ユルサルに国王が誕生したのはつい最近だしな。もともとユルサルはフランスの一部で、二十世紀に入ってすぐくらいに独立国となった。だから共用語はフランスだろ?」

優輝は頷く。

「しばらくは国王のいない国だったんだが、最近、な。その貴族の男が国王の地位に就いたんだ」

「そうだったんだ……」
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