切れない鎖

「ふざけないでよ!」

その時、扉が勢いよく開いた。

そこには、

「アナ……」

シャルンの恋人、アナが涙を流して立っていた。

「今の話し、全部聞いたわ。シャルンがこの塔に登っていったのを見て、塔の下で出てくるのを待ってたの。そしたら優輝が走ってきて、話しかける前に塔に登っていっちゃった。だから私も登ってきたのよ」

アナはボロボロと涙を流す。

「そしたら、こんな話が……」

「アナ……」

優輝はアナの名を呟いた。

シャルンはまたしても俯き、アナを見ようとしない。

「ねぇシャルン。嘘よね?嘘に決まってるわよねぇ?」

アナが、一歩一歩シャルンに近寄る。

「いつか、結婚しようって、言ってくれたわよね?」

シャルンのソファーに触れる位置まで来た。
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