切れない鎖

「好きなのは君だけだって。たとえ婚約者がいようとも、君が他の男を好きなったとしても、って。私、すごい嬉しかった!」

そこでシャルンはやっと顔をあげた。

「そうだよ。たとえ婚約者がいようとも、僕が結婚しようとも、君を愛してる」

「なら私と……!」

アナはそこでやっと気が付いた。

「婚約者がいてもって、結婚しようともって……」

「あぁ。結婚したとしても、愛してるのは君だけだよ」

「あぁぁぁ、あぁぁぁぁぁぁあ!!」

アナはその場にうずくまった。

「酷い!こんなの、酷すぎるわ!」

アナは泣き叫ぶ。

「違う人と結婚するのに、愛してる私じゃない人と結婚するのに、私を愛してるって言うの?!」
< 166 / 284 >

この作品をシェア

pagetop