切れない鎖
そこで優輝は全てを理解した。
「シャルン、君は、アナを愛しながらユルサルと結婚しようとしてるのかい?」
「……あぁ」
シャルンは低く頷く。
「皆が、皆が幸せになれる未来はないのかな……」
「きっとない」
肩を落とした優輝の呟きに、ユルサルが反応した。
「きっと、ないのだ」
部屋には、アナの泣き声が響く。
「私の父親のせいなのだ。あいつさえいなければ、皆が、きっと幸せになれるのに……」
「ユルサル……」
悔しそうに言うユルサルを、優輝は見つめた。
(一番可哀想なのは、きっとこの子だ。ずっと閉じ込められてきて、久しぶりに会った男の子と結婚しなくちゃいけなくて……。いや、アナも愛するシャルンが違う人と結婚するんだから辛いに決まってる。シャルンだってアナと結婚できないんだから辛いはずだ……)
優輝は思った。
(皆、皆辛すぎるじゃないか……!)