切れない鎖
(きっとディスクさんだ。急がなきゃ!)
「早く!」
優輝は叫んだ。
「で、でも……」
シャルンは戸惑った顔をしている。
「いいから!アナと一緒に行くんだ!後の事は僕に任せて!」
優輝は泣き崩れているアナの腕を取り立ち上がらせた。
アナも、訳が分からないという顔をしている。
そして二人を無理やり扉の向こうに押し出した。
「港へ急げ!シャルン!アナ!」
そして返事を聞かずに扉を閉めた。
それと同時にシャカルがエレベーターから降りてきた。
「こんにちは。ディスクさん」
優輝は何事もなかったかのように挨拶をする。
「こんにちは」
シャカルは相変わらずの澄まし顔で返してくる。
「先程一条さんより先に少年がここに入っていくのを見かけたのですが、入れ違いで帰ったようですね」
探るような目でこっちを見てくる。
「……そうみたいですね」