切れない鎖
優輝もちょっとだけ澄まして返した。
「一条さんは何故ここに?」
「留学先で会った友達にまた会いに来たんです」
「そうですか……」
心理戦のような、冷たいような戦いが広がる。
「少年は私が来るまでここにいるはずだったのですが、どうしたのでしょうねぇ」
「用事を思い出したんじゃないですか?」
「国王の命令だということを少年は知っていたはずなのですが、国王の命令より大切な用事とはいえ何でしょうか?」
「僕には全く分かりません」
暫く睨み合う。
次の瞬間、思わぬ事が起こった。
「もういい、やめよう」
シャカルの口調が全く変わったのだ。
「はい?」
優輝は思わず聞き返していた。
「こんな面倒な言い合いは止めようって言ってんだ」