切れない鎖
優輝は自分の持ってきた荷物から斧を取り出した。
「君、まさか……」
ユルサルが驚いた顔で優輝の見る。
優輝はユルサルに歩み寄る。
「君、本当にやるのか……?」
「うん。やるよ」
優輝はユルサルに触れる位まで来た。
「立って」
「……」
ユルサルは立とうとしない。
「僕は君を助けたいんだ」
「……」
「僕は君を助けるために今日ここに来たんだ」
「……君は何故そのまでして私を助けようとする?人を助けたという優越感か?それならただの自己満足だ。おめでたいことだな」
「違う!」
優輝が大きな声を出したのでユルサルは少しだけびくっとした。
「僕はずっと君を助けたかった。けど、勇気も、敵に勝つ力もなくて、自分が情けなかった」
ユルサルは黙って聞く。