切れない鎖
「僕は今回、君を助けるまで帰らない」
暫くの沈黙が続いた。
するとふいにユルサルが、微かに笑った。
「一条、君は本当に変な奴なのだなぁ」
突然のユルサルの言葉に驚いた優輝は、
「なっ!あのねぇ、僕は真面目に話を……」
と反論しかけたが、ユルサルの言葉で封じられた。
「なら、私を守れ」
「……へ?」
「私を守れ」
繰り返すユルサルの顔をじっと見つめる。
「本当にいいの?」
「あぁ」
尚尋ねる優輝にユルサルは頷いた。
「切れない鎖を切るというのも愉快ではないか」
ユルサルはくっくっくっと笑う。
「さぁ、一思いに宜しく頼む」
ユルサルの言葉に優輝は斧を振り上げた。
そして、
ガシャャャャン
という音と共に、鎖は、切れた。