切れない鎖
モノローグ
ガシャャャャン
鎖は、砕けた。
案外容易く切れるものだったのだな。
今までとは違う音がした鎖。
破片が少しだけ飛び散った。
足にある輪っかはそのままだが今までとは全く感覚が違う。
なんて軽いのだ!
足を少しだけ上げると輪っかの部分の重みはあるが縛り付けられているという感覚がない。
自由!
これも少年のおかげだ。
ありがとうの言葉では足りない。
突然やってきて私に暖かいものを与えて去っていった。
そしてまた突然やってきた。
一条。
君は本当に、暖かい。
だからこそ、君を信じて、君に守ってもらいたい。
だからこそ、君が傷つかぬよう今までのままでいいとも思う。
一条。
私はこのまま君に縋っていていいのだろうか……。