切れない鎖
学園は、人に見られないように素早く抜け出した。
電話を使うこともできないので、歩いて森を抜けようとしたのだが、
「大丈夫?」
優輝が問いかける。
「大丈夫に、見えるのなら、君の目はただの、節穴なのだろうな。ハァ、ハァ」
長い距離を歩いたことのないユルサルは、すぐに疲れてしまったのだ。
足に鎖の輪っかが着いているのでなおさらだ。
優輝はしゃがんで、ユルサルに背中を向けた。
「はい。乗って?」
「む?」
ユルサルは不思議そうな顔をする。
「おんぶだよ。さぁ、早く」
ユルサルは恐る恐る優輝の両肩に手を付き、しがみつくように乗っかった。
優輝は立ち上がる。
「大丈夫?落ちなさそう?もっとぎゅってしていいよ」