切れない鎖
するとユルサルは優輝の首に腕を回した。
「い、以外と高いのだな」
「君、小さいから高いところから地面を見たことないんだろう?これでも僕は大きい方だからね。あんまり地面を見ない方がいいよ」
ユルサルが頷くのが分かった。
優輝は再び歩き出す。
(この子、軽いなぁ。けど、下の方がずしっとする。こんなにも重い鎖を付けてたんだなぁ)
優輝はユルサルの辛さが少しだけ分かったような気がした。
右手に日本から持ってきた荷物も持っているので、歩く早さは遅くなったが、なんとか港に着いた。
「ここが、港なのか?」
「そうだよ」
ユルサルは、物珍しそうに港を見回す。
「あれが船か?」
「うん。僕達が乗る船はあれだよ」
優輝は切符を買いながら答える。
「ここが、港なのだな……」