切れない鎖

するとユルサルは、ちょこっとだけ優輝の方に近づいた。

「どうしたんだい?」

そう聞くものの、再びご飯を食べ始めてしまった。

その時、優輝は二回目にユルサルに会った時のことを思い出した。

『あのだな、君。私は初めて会った男とビーチクパーチク話して仲良し子良し出来るほど人慣れしていない』

(そういえばあんな事があったなぁ一年近く前のことかぁ)

優輝はユルサルの耳に唇を寄せると、

「君、人慣れしていないんだったね」

と言った。

ユルサルは、

「は、早いうちに慣れるようにする」

と、顔を赤くしながら言うと、再びご飯を食べ始めた。

優輝はそんなユルサルを優しく見つめた。
< 199 / 284 >

この作品をシェア

pagetop