切れない鎖
「先程、優輝の顔がな近付いたときお顔を赤くしていらしたものね」
「そ、それは違うよ。あの時僕は『君、人慣れしていないんだったね』と言ったんだ」
「それで?」
咲が不思議そうに首を傾げる。
「多分、ユルサルは人慣れしていないということが恥ずかしく感じたんじゃないかな」
すると咲がキョトンとした顔をした。
父も卓志も、
「呆れた……」
と顔を伏せ、母までもがくすくす笑っている。
「優輝さん、それ、本気で仰っているのですか?」
「うん……」
優輝は何故皆が笑っているのか分からないといった様子で頷く。
「皆、どうして笑っているんですか?」
優輝が聞くも、皆曖昧な顔をして頷き合うだけだった。