切れない鎖

「その辺の人に見せたら教えてくれたんだ」

シャルンは言う。

「僕もそうしてくれると良いなって思ってたから、良かったよ」

「日本語が喋れなくても言いたいことが通じるって、素敵よね」

「うん」

優輝はにっこり笑った。

「それで、やっぱり日本語を覚えることは大事だと思うんだ。ユルサルも、字の読み書きだけでは生活しにくいから、ちゃんと覚えるんだよ」

「……仕方ないな」

ユルサルもしぶしぶ承諾する。

「私、日本語早く覚えたいわ!」

「俺も!どんな風に喋るんだ?」

アナとシャルンは今からうきうきしている。

「明日から覚えよう」

優輝がそう言うと、二人は肩を落とし、

「じゃあ、明日楽しみにしてるから」

と言った。

その時、

「優輝さん」

と、優輝を呼ぶ声がした。
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