切れない鎖
「大丈夫だよ、アナ。少しだけ待ってて」
シャルンはそう言うと、アナの頭を少しだけ撫でた。
そして優輝は、シャルンとユルサルを連れ、自分の部屋へ入った。
「あのね、ユルサル。君の事を塔に閉じ込めたお父さんであり、シャルンを買った貴族。それは、ルマーズ学園の校長先生なの?」
優輝は、畳に正座するとユルサルになるべく優しく尋ねた。
ユルサルは俯き、微かに震えている。
「大丈夫だよ」
優輝はそう言ってユルサルの手を握った。
ユルサルが驚いたように顔を上げる。
「たとえ誰が相手だろうと、僕が君を守ることには変わりない。僕は、君を守ってみせるから」
優輝は、ユルサルの目を見つめてはっきりと告げた。
ユルサルが口を開いたその時、
「優輝さん、お客様ですよ」
と、母が襖越しに声をかけた。
「はい。今行きます」
優輝は立ち上がると、ユルサルの頭をなで、
「少し待っててね」
と、玄関へ向かった。
ユルサルは、とても不安そうな顔をしていた。