切れない鎖
モノローグ
行かないで。
そう声をかけそうになったのは何故だろう。
嫌な予感がするのだ。
とても、嫌な予感が。
その時、シャルン・ディスクが何かを言った。
聞こえない。
もっと大きな声で。
心が、焦る。
すると、その言葉が聞こえた。
聞こえてしまったのだ。
聞こえなければ良かったのに。
嫌な予感ほど、よく当たるものだ。
気が付くと私は玄関に向かっていた。
一条、もういい。
私を守るなど、初めから無理だったのだ。
君が幸せならそれでいいから。
私は元の生活に戻るだけだから。
今の幸せを、手放すだけだから。
シャルン・ディスクの口から聞こえた言葉。
「校長、先生……」
悪夢が、近付く。