切れない鎖
悪夢

「こんにちは。久し振りだね、一条君」

そう、にこやかな笑みを浮かべるのは、ルマーズ学園の校長、ストラス・クライトだった。

「お久しぶりです……。校長先生……」

優輝はやっとの事で挨拶を返した。

(怖い。今はこの人が怖い)

にこやかな笑みの奥に、恐ろしいものが潜んでいるように、今は感じられる。

「どうされたんですか……?」

唾を飲み込みながら尋ねる。

「留学生だった一条君のお宅を見てみたくてね。立派なお家だねぇ」

校長は、優輝の家を舐め回すように見る。

(やめろ。やめろ。やめろ!)

優輝は何故か、そう叫びたい気持ちになった。

「本当に、それだけなんですか?」

優輝はやっとの事でそう返す。
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