切れない鎖
優輝は、校長の言うことの変化について行けなかった。
(何なんだ?この人は)
すると、
「一条」
と、ユルサルが優輝の背中をつついた。
「一度、話をする」
「何を言うんだよユルサル。あの人は、君を連れて帰ろうとしているんだよ?そんなのだめだよ」
しかし、ユルサルは首を振り、自ら校長の元へ近付いてしまった。
「ユルサル……」
優輝が、名前を呟くことしか出来ないほど、ユルサルの目は真剣だった。
ユルサルは、校長の元へ行く。
そのまま、優輝から少し離れたところに行こうとしたので、優輝も近付こうとしたが、ユルサルに手で制されてしまった。
優輝はその場に立ち止まり、二人が話しているのを見ているしかなかった。
ユルサルは優輝に背を向けているので、どんな表情をしているのか分からない。
優輝はいつでも飛びかかれるように校長を見つめていたが、やがて校長はにこやかに優輝に手を振るとその場を去っていった。