切れない鎖

「だから、僕が来たときには、もう紅茶は煎れてあったんだね」

優輝は今更な事を理解した。

「でも、どうして他の人には教えてはいけないんだい?」

「聞いた人の未来を変えてしまうからだ。それはストラスさんに言われたことなんだけど、俺もそう思う。未来は、あまりいじってはいけないと思うんだ」

「そっか……」

優輝は俯いた。

(シャルンがあんなに驚愕の表情をしていたってことは、いい未来ではないんだよね。しかも、シャルンに未来が見えたって事は、シャルンには関係のない未来……)

「大丈夫だよ、シャルン。この家が、君達をきっと守ってみせるから」

優輝が言うと、

「あぁ」

と、シャルンは曖昧に微笑んだ。
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