切れない鎖

アナは笑って見送ってくれた。

「じゃあ、行こうか。ユルサル」

優輝はユルサルの手を握る。

ユルサルは驚きもせず、優輝の手をキュッと握り返した。

咲が、

「優輝さんはユルサルさんと二人で行ってきてくださいね」

とお茶目に笑ったことから、優輝はユルサル、二人で行くことになっていた。

(咲は余計なお世話が多いんだよなぁ)

そう思うものの、少しだけ嬉しかったりもした。

(ユルサルと二人きりなんて、そうそうないもんね)

優輝は、人が多くなってきた道を、ユルサルが人にぶつからないようにかばいながら歩く。

「あ、見えたよ。あそこでお参りするんだ」

優輝の視線の先には、立派な神社があった。
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