切れない鎖
二人はしばらく並び、やっとお参りの順番が来た。
ユルサルに作法を教えて、自分もお参りする。
(この先も、家族が幸せにいられますように)
優輝はそうお願いしようとした。
(でも今回はやっぱり……)
優輝は長いことお願いした。
「じゃあ、ユルサルに行こ……」
優輝は途中で声をとぎらせた。
ユルサルが、目を瞑り、ずっと、お願いをしているのだ。
優輝が声をかけられないほど真剣に。
そして、目を開けた。
作法を終わらせ、優輝を見る。
「では行こうか。一条」
その目には、何かを決意したかのような、意志があった。
帰り道、
「一条、行きたい場所があるのだが」
ユルサルがそう言うので、優輝はユルサルに着いていった。