切れない鎖
ユルサルは歩いたことがないはずの道をすたすたと歩く。
(この子、どうしてこんな道を知ってるんだろう)
目的地は、ほんの三分ほど先の所だったようだ。
着いた所は、大きな木の下だった。
葉は一枚も付いていない、寂しい木だった。
(ここは、僕も知ってる場所だ)
昔、この木に登って遊んだ記憶がある。
(こんな場所、忘れちゃってたけど)
「ユルサル、こんな場所、よく知ってるね。誰かに、教えてもらったのかい?」
優輝はカサカサに乾いた木の幹をなぞりながらユルサルに尋ねる。
しかし、ユルサルの返事がない。
優輝は後ろを振り返った。
「ねぇ、ユルサ……」
パァァァァァァァァァァァン!
「ぐはっぁ!」