切れない鎖
「ユルサル」
「え?」
咲が顔を上げた。
「ユルサルは、どこに……?」
咲が首を振る。
「見つかったのは、優輝さんだけだったの。もしかしたら、犯人がユルサルさんを誘拐したんじゃ‥‥‥」
優輝は天井を見つめた。
(ユルサルは、本当は‥‥‥‥)
しかし優輝は、
「うん、ユルサルは、誘拐されたんだ」
と、嘘を付いた。
「やっぱり!」
と、咲は悲観的な声を上げる。
「だから、僕、ユルサルを取り返しに行かなきゃ‥‥‥」
優輝は力を振り絞って起き上がった。
足の痛みに呻く。
「だめですよ!さっき弾が摘出されたばかりなんですよ?!今は動かないでください!」
右足首には、包帯がぐるぐる巻きにされていた。