切れない鎖

「今は、ダメだ」

父はもう一度そう言った。

「身体が完全でないお前が行って何になる?治って、それから行くんだ」

「いいんですか?治ったら、行ってもいいんですか?」

優輝は期待を込めて父を見た。

「あぁ。治ったら、な」

父はまた、そう呟いた。

それから部屋にはシャルンとアナだけが残った。

「大丈夫か?優輝……」

「ねぇ、シャルン」

「……」

シャルンは何の返事もしない。

「ねぇ、シャルン。シャルンが見た未来って、何だったの?」

優輝は再度呼び掛け、尋ねた。

「……枯れた木の下で、シャルンが……お前を……銃で撃つところだ……」

シャルンは、悔しそうに言った。

隣でアナが驚きの声を上げる。

「ごめん……優輝……未来を教えることは……やっぱり……」
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