切れない鎖
怪我
あれから、数ヶ月が経った。
桜はもう、散っている。
「優輝さん、お食事ですよ」
咲が朝ご飯を持ってきてくれた。
「ありがとう……」
優輝は弱々しく微笑む。
優輝の足は、もう治らないと医者に言われた。
「父さんは知ってたのかな‥‥‥」
「え?」
「医者に言われてたのかな。僕の足はもう治らないって。だから、僕の足が治ったら探しに行ってもいいって言ったのかな‥‥‥」
「でも優輝さん、警察の方も、ユルサルさん
捜索をしてくださっているんですから……」
咲は自信なさそうに呟いた。
この数ヶ月、ユルサルの行方は一向に知れない。
優輝は一旦箸を持ち、食事には手を付けずに箸を置いた。
「今日も、いいや……。ありがとうね、咲」
そしてまた、弱々しく微笑んだ。
「でも優輝さん、少しでも食べないと身体が‥‥‥」
咲が悲しそうな顔をする。