切れない鎖
それからまた数日……
「何をしているのですか?!優輝さん!」
咲の声が家に響いた。
「神経が切れているのですよ?!動いてはいけません!」
咲は、廊下を手すりにもつかまらず、ふらふらと歩く優輝を引き留めようとした。
「余計なことするな!」
優輝の叫びに咲がビクッと震えた。
「優輝さん?」
普段の大人しい優輝からは想像も付かない声と言葉に、咲の顔が泣きそうに歪む。
「僕が行かなきゃ、ユルサルはもう、きっと見つからない。僕が行かなきゃ、あの子はずっと、ずっと泣いているんだ」
「優輝さん……」
咲が、涙を零した。
「貴方は、私の大切な、大切な弟なのです。大切なんです‥‥‥」
ぽろぽろと涙を流す咲の頭に、優しく手を置いた。