切れない鎖
救う
「じゃあ、行ってくるから」
優輝は夜のうちに家を抜け出そうとした。
「優輝、ユルサルと、帰って来いよ?」
シャルンが優輝の目を見て言う。
アナには心配をかけたくないので黙っていた。
家族にも。
ただ、シャルンには全てを知っていて欲しかったし、シャルンには全てお見通しだろう。
優輝は、
「ユルサルは、必ず助けるから」
と返した。
その時、
「優輝さん」
と、誰かが呼んだ。
(大変だ!バレたら、行けなくなってしまう!)
そう思いなが振り返ると、
「皆……」
家族が、揃っていた。
「優輝、黙って勝手に行くなど、許されると思っているのか?」
父が言う。