切れない鎖
優輝も、涙で視界が震えた。
「けど、行くんです」
優輝がそう言うと、母は優しく、悲しそうに微笑んだ。
「行ってらっしゃい、優輝さん」
いつも高校に行くときにかけてくれるような、優しい声。
父、卓志、咲も微笑んだ。
「優輝、必ず戻って来いよ」
シャルンが優輝の肩を強く掴む。
「きっと、きっとユルサルと二人で帰ってくるから」
優輝も強く頷いた。
「行って来ます」
家族と仲間を一人ずつ目に焼き付ける。
焼き付けて、忘れないように。
「行ってらっしゃい」
その言葉を聞くと、優輝は歩き出した。
空はもう太陽が昇り始めていて、道は、明るかった。