切れない鎖
「僕は君を助けに来たんだよ!?君が怪我したら、僕がここに来た意味がなくなってしまう!」
すると、ユルサルが小さな声を発した。
「……たのだ」
「え?何て?」
優輝が聞き返すと、
「体が勝手に動いたのだ」
と、ユルサルは言った。
「君が危ないと思ったら、体が勝手に動いたのだ!」
ユルサルは優輝の服の胸の辺りをぎゅっと握り締めた。
「君が居なくなるのが怖かったのだ!」
ユルサルは、震えている。
「君、泣いてるの……?」
優輝が問うと、ユルサルは首を振った。
「泣いてなど、いない」
「そっか……」
優輝は頷くと、ユルサルを、抱き締めた。