切れない鎖
出会い
「この学園広すぎるな~」
ある学園の廊下に、一つの声が響いた。
声主は一人の少年、一条優輝だった。
「転校生を一人で送り出すとか、どんな先生なんだろう。きっと何でも適当な人なんだな。あ、でもこんなに綺麗な地図を作ってくれるんだから几帳面な人なのか?う~ん、分からん」
優輝はぶつぶつと呟きながら歩く。
「ん?何だあれ」
その時優輝の足がぴたりと止まった。
その場所から少し離れたところにある塔のようなものが目に入ったのだ。
「気になるけど、今は学校の場所を覚えなくちゃいけないし。今度にしよう」
迷った挙げ句、今は行かない事にした。
そして、
「え~と、次は音楽室か。そういえば故郷では歌が上手いって先生に誉められたんだっけ。此処でも誉めてもらえるかなぁ」
と、またぶつぶつと呟きながら、地図の通りに歩くのだった。