切れない鎖
しかし、やはり銀色の鎖が目に入る。
(どうしてあんな物を付けてるんだろう)
すると、歯を磨き終わった少女が言った。
「君、いったい、いつまでここにいる。君も、昼食、あるだろ」
「そ、それほそうなんだけどさ。君のことほっとけないよ。どうしてそんな鎖を付けているんだい?」
それきり少女は黙り込む。
優輝は軽く息を吐いた。
「また来るからね」
「………」
「これから宜しくね」
「勝手にしろ」
優輝は少女の面倒臭そうな返事を聞くと再び重い扉を開けた。
ギィィィ
着たときのように低い音が響く。
優輝は出るときにもう一度少女を見た。
少女は優輝をじっと見ていた。
しかし、優輝と目が合うと目を逸らしてしまった。
そして優輝は扉を閉めた。
「不思議な女の子だったなぁ。何でか鎖で繋がれてたし」
優輝は少女を思い出す。