切れない鎖
優輝は少しだけ近付いてみた。
少女は少しだけビクッとする。
「あ、あのさ、何の本呼んでるの?」
「竹取物語というやつだ」
「あ、それ僕の国の本だよ!」
優輝は嬉しくなった。
それと同時に驚きもした。
「言葉は直してあるのかい?」
本を覗き込んでみると、また少女が少しだけビクッとした。
優輝は慌てて離れた。
「な、直してないじゃないか。読めるの?」
「読める。」
「ふぅん。凄いんだねぇ」
優輝は感心した。
「ここにいると、本しかない。」
少女は一つの場所を指差した。
すると、普通に壁があった。
「か、壁?」
「開けてみろ」
優輝は壁の前に立ってみた。
すると、出っ張っている部分がある。
それを横に引いてみた。
すると、
ズズズズズズズズ
という音を立てて、壁が半分になった。