切れない鎖
(今、どんな顔しているんだろう)
優輝は何故か気になった。
本を見るのをやめ、少女に近付く。
少女は至って普通の顔をしている。
優輝は少しだけ安心した。
「何なのだね?」
「あ、いや、もしかしたら僕、気に障る様なこと言っちゃったかなって。ほら、君、あの、外に、出られないんだろぅ?」
少女の問いに、最後の方は聞こえるか聞こえないかくらいの声になってしまった。
少女は優輝と一度目を合わせると、ふっと息をつく。
「気にするな。外の景色に興味はあるが、見なければ死ぬ訳でもない」
「そ、そう」
気を使ってくれたのかな、と思いつつ、少しだけ罪悪感が残った。
「そういえば君、普通に話せるんだね」
「何のことだ?」
少女は眉を寄せ優輝を見る。
「一週間前は、つまりつまりな感じだったからさ」