切れない鎖
その表情がすこし寂しげな事に優輝は気づいた。
「いったい、どうして半年限りだって言うんだよ……」
少女は何も答えず、食事を続けた。
カチャリ カチャリ
という音と、疑問だけが、後に残った。
優輝は重い心で昼食を食べ終えた。
「あの、美味しかったです。ありがとうございました」
燕尾服の男に声をかけると男は「いえ」と、食器を持ち上げた。
少女はまだ食べている。
「あの、良ければエレベーターの暗証番号を教えて頂けませんか?あれを使えれば階段を使わずにここまで来れるので」
毎回階段を使って上に来ている優輝は今がチャンスだと思い、男に聞いてみた。
「あれは私専用のエレベーターなので、教えることは出来ません」
男は申し訳無さそうに、ではなく、すました顔で言った。
「そ、そうですか……」