切れない鎖
「あらら、擦りむいて、ちょっと血が出てるよ」
少女の膝からは、少しだけ血が出ていた。
「こういうのは、舐めれば治るよ」
優輝は少女の膝に唇を寄せた。
すると、
「駄目だ!」
優輝から、少女が素早く離れた。
「私の血は、駄目だ。私の血は、駄目なんだ……」
少女はうわごとのように繰り返す。
「君、どうしたの?どうして君の血は駄目なの?」
「君、今日は帰れ。少し、一人にしてくれ」
優輝の質問に答えず、少女はベッドに向かい、横になってしまった。
優輝は少女を見つめ、大人しく戻るしかないのだった。
「いったい、君の血が何だっていうんだよ」
という、疑問を残したまま。