切れない鎖
「血が駄目な理由を教えてもらえなくても、昼間のことを詫びる事はできるからね」
思い立ったらすぐ行動する性格の優輝は、もう塔の階段を上っていた。
カッカッカッカッ
カッカッカッカッ
と、音を響かせながら上る。
キィ
と、時折高い音がするのは、優輝がランタンを持っているからだ。
「夜のこの場所って、暗すぎるよぅ」
走り出してしまいたいが、父親にバレたら、と思うと、しゃんとして歩くしかないのだった。
頂上に着くと、優輝は一度呼吸を整えた。
「ふぅ。いくぞ」
そして思い扉を開けた。
すると、
「あれぇ!?何でぇ!?」
そこは、無人だった。
「あの女の子、ここから出られないんじゃなかったのかなぁ」
部屋に入りながら呟く。