切れない鎖
少女は答えない。
父親は溜め息を付いた。
「メイドをしていた女が、一度遊んでやったら身ごもるとはな。まぁ、その女も病で死に、俺はもともと妻も子供もいないから、俺の娘にして欲しいのなら勉強しろ。そして俺が国王になるための力添えをしろ」
父親はそう吐き捨てると自室に戻っていった。
「私は、お父様に娘だと思われていないの……?」
そんな少女を、家庭教師は勉強部屋に連れて行き、父親の命令通りに勉強を少女に叩き込むのだった。
それから数日後、
「未来が見える子供だと?」
父親の声が聞こえた。
少女は壁に隠れてそっと話を聞く。
「村の方で、今噂になっているんですよ。その少年が呟いた言葉は全てその通りになるから恐ろしいものだと」
家来らしき男が耳打ちをしている。
すると父親はにやりと笑った。
「それは、面白そうな子供だな」