切れない鎖
「あなたの血を舐めた少年でしたら、旦那様に買われ、旦那様の家、元の貴方の家でくらしていますよ。未来が見えるというのはどうやら本当らしいので」
男はまるで、少女のせいだとでも言うかのように言った。
「そうか……」
少女はそれだけ呟くと、また本を読み始める。
しかし心は、罪悪感でいっぱいだった。
それから何年も経った。
壁は、ほとんど本で埋め尽くされ、鎖の重みにも慣れた。
そして一人ぼっちにも慣れた。
しかし少女は出会うのだ。
日本からの留学生、一条優輝という名の少年に。
コツコツコツコツ
コツコツコツコツ
何の音?
期待と不安が入り交じる気持ち。
身を堅くしてその何かを待つ。
音は近付いてくる。
扉は、開け放たれた_________。