切れない鎖
「風呂だ」
「風呂?」
優輝は先程少女が出てきたという扉を開けて中を見てみた。
するとそこには少女にはちょうどいい大きさの、小さなバスタブがあった。
「父親は徹底的に私を閉じ込めるつもりなのだよ」
少女は嘲るように笑う。
「そんなの、酷すぎるよ……」
その時優輝はあることに気づいた。
「君を閉じ込めた男って国王だって言ってたよね、前に。じゃあ、お父さんは、結局国王になれたんだ」
呟く優輝に少女はコクリと頷いた。
「あの男が国王になったところで私のような人間が増えるだけだ」
少女は憎々しげに言う。
「うん……」
そして優輝はまたあることに気が付いた。
「じゃあさ、国王、君のお父さんの近くにその少年はいるんじゃないの?未来がみえるんだろう?」
すると少女ははっとした顔になった。
「そうだ!君の言うとおりだ一条!よく気が付いたなぁ」
少女は珍しく、興奮した様子を見せた。